本作の根底に横たわるのは、原作者である藤子・F・不二雄が当時の世界情勢に対して抱いていた鋭い危機感だ。米ソ冷戦構造下における核抑止論と相互確証破壊(MAD)の恐怖が、ポセイドンと鬼岩城というメタファーに見事に落とし込まれている。主を失った兵器が無人のまま報復攻撃のカウントダウンを刻み続ける恐怖は、当時の小学館の連載陣やシンエイ動画のスタッフ陣によって、容赦のないリアリズムで視覚化された。
テレビ朝日系列での放送や東宝による劇場配給を通じて、この鋭利なメッセージは日本全国の家庭へと届いた。平和を維持するために作られた軍事防衛システムが、最終的に世界全体を焼き尽くす引き金になるという皮肉。エルという前線の少年兵の視点を通すことで、読者や観客は自らの足元にある現実の国際政治の危うさを直視させられたのである。