父を見送った後、山口さんは生まれ育った横浜の元町に輸入雑貨店をオープンさせた。地元の人々と交流し、自ら店頭に立ち、愛犬の散歩を楽しむ日々。テレビの喧騒を離れ、穏やかな日常を取り戻したかのように見えた。
しかし、最愛の父を失った心の穴はあまりにも大きかった。心を通わせる愛犬たちと静かに暮らす一方で、近親者や古くからの友人にふと漏らす弱音や、体調の不調を訴える声もあったという。体調を崩して入退院を繰り返すこともあり、彼女の心身には長年のストレスが確実に影を落としていた。
責任感が強く、他人に迷惑をかけることを何よりも嫌った彼女だからこそ、身体の異変に気づいても一人で耐え忍んでしまったのではないか。誰にも看取られることなく旅立ったその最期は、彼女の優しさと強さが生んだあまりに切ない結末だった。