2010年7月28日、桑田佳祐さんは所属事務所を通じて食道がんの初期段階であることを電撃発表しました。公式発表では「初期」という表現にとどめられていましたが、その後の医療関係者の見解や各種報道、本人の回顧録などから、病期は「ステージ1(Stage I)」であったことが明らかになっています。
食道がんは進行が早く、リンパ節や他臓器に転移しやすい極めて厄介ながんとして知られています。ステージ分類においてステージ1は、がん病変が食道の粘膜下層までにとどまり、周囲のリンパ節や他臓器への転移が認められない状態を指します。
当時の桑田さんの状態は、まさにこの転移がないステージ1の初期段階でした。もし発見が数ヶ月でも遅れて筋層深くまで浸潤していたり、ステージ2や3へ進行していたりすれば、治療方針も予後も全く異なるものになっていたはずです。日本の音楽シーンを揺るがした危機の裏には、不幸中の幸いとも言える極めて精度の高い早期発見が存在していました。