NHK連続テレビ小説『らんまん』での寿恵子役も記憶に新しい。和装に身を包み、日本髪を結い上げたときのうなじから横顔にかけてのラインは、古典絵画から抜け出してきたかのような典雅さを放っていた。夫を支えつつ自らの足で立つ女性の決意が、わずかな顎の引き方ひとつに宿る。テレビ画面越しであっても、その横顔の説得力は圧倒的だった。
一方、庵野秀明監督がメガホンを取った『シン・仮面ライダー』の緑川ルリ子役では、全く異なる冷徹な美しさを披露した。感情を抑制した佇まいの中、ヘルメットのバイザー越しや風になびく黒髪の間から覗く冷たい横顔。静寂の中で視線だけを動かすミニマルな演技が、ミステリアスなヒロイン像に深い陰影を与えていた。