「書類さえ渡せば、あとは相手が名義変更してくれるはず」という甘い期待が引き起こすトラブルは、SNSやYahoo!知恵袋、コミュニティ掲示板で日常茶飯事のように報告されています。編集部が検証した実際の紛争事例からは、制度上の盲点と人間の心理的油断が浮き彫りになります。
Yahoo!知恵袋に投稿された代表的な嘆きの声には、次のようなものがあります。
「メルカリで中型バイクをナンバー付きで引き渡し、『1週間以内に名変します』という言葉を信じた。しかし翌年5月、自分の元に軽自動車税の納税通知書が届いた。相手のアカウントは退会されており、電話も不通。現在も私の名義のままどこかを走っている」
こうした事態に陥った場合、旧所有者は車両も手元になく、ナンバープレートもないため、陸運局で正規の抹消手続きを取ることが極めて困難になります。「理由書」を提出して登録を職権抹消・強制抹消させるには膨大な時間と労力、警察への相談履歴などを要し、多大な精神的苦痛を被ることになります。
また、2026年現在の運輸支局の現場観察においても、電子申請化が進みつつある四輪車と比べ、二輪車の窓口は依然として対面での現物書類照合が中心です。窓口スタッフの証言によると、「旧所有者の認印が薄くて読めない」「譲渡証明書の住所が旧所有者の住民票と異なっており(引っ越し歴があり転居の繋がりが証明できない)、差し戻しになるケースが毎日数件はある」といいます。バイク個人売買の手続き手順においては、車両を渡す前に書類の完全性を双方がその場で突き合わせることが絶対防衛線です。