受験生が最も注視すべきは、表面的な国家試験合格率の数字だけに惑わされないことです。厚生労働省が毎年発表する薬剤師国家試験の合格実績において、日本大学薬学部の新卒合格率は例年82%〜88%程度で推移しており、全国私立大学の平均値を安定して超えています。
しかし、文部科学省が公表する「薬学部における修業年限と教育実態」の詳細を深掘りすると、別の側面が見えてきます。入学者が標準修業年限(6年間)で国家試験に一発合格する割合、いわゆる「ストレート合格率」は約60%〜68%にとどまります。この数値は私立薬学部全体の平均(約55%〜60%)よりは良好であるものの、「入学生の約3人に1人は6年間で薬剤師になれていない」という現実を冷徹に物語っています。
日大薬学部における留年率が跳ね上がる関門は主に2つ存在します。1つ目は専門基礎科目が激増する「2年次から3年次への進級時」、そして2つ目は「6年次の卒業試験」です。特に卒業試験は、国家試験の合格実績を維持するために極めて厳格な足切りラインが設定されており、学内試験を通過できずに卒業延期(留年)となる学生が毎年一定数発生します。日大薬学部が誇る高い国家試験合格率は、手厚い国家試験対策講座の成果であると同時に、徹底した学内選抜という防波堤によって支えられている構造を理解しておく必要があります。