今期の流行を決定づけているのは、徹底的に引き算されたミニマリズムだ。針の太さを極限まで細くした「ファインライン(Fine Line)」技術の進化により、まるで鉛筆で繊細に描いたデッサンやクロッキーのような質感が実現可能になった。手首の内側、首筋、肋骨のあたりに、ごく小さな文字やジオメトリック(幾何学)模様をひとつだけ入れる。「見せる」ためではなく、「自分だけが知っている」という自己満足の感覚が流行の核心にある。
さらに近年注目を集めているのが、数年で自然に代謝されて消える特殊なオーガニックインクや、除去技術の進歩を前提とした施術スタイルだ。「生涯消えない」というプレッシャーが取り払われたことで、これまで躊躇していた層が一気にスタジオへと足を進めるようになった。身体に永続的な変化を与える恐怖感が薄れたことで、より軽やかに、まるでファッションの模様替えのようにタトゥーを楽しむ風潮が生まれている。