本作の根底に流れるのは、野望に取り憑かれた青年と、彼を取り巻く二人の女性が織りなす破滅へのカウントダウンです。物語の発端は、大手銀行のエリート行員でありながら底知れぬ野心を秘めた沢村卓也(吉田栄作)が、ある巨額の横領事件に巻き込まれることから始まります。卓也の背後にいたのは、表向きは清楚なデパートガールでありながら、冷徹な計算と悪魔的な美貌を併せ持つ恋人・宮本小百合(田中美奈子)でした。
二人が標的に定めたのは、名門財閥の令嬢であり純粋無垢な心を持つ田代美幸(山口智子)。卓也は小百合と共謀し、美幸に偽りの愛を囁いて巧みに接近し、田代家の莫大な遺産と地位を手中に収めようと画策します。しかし、計画が実行に移された瞬間から、関与した人物たちの思惑は予想もつかない方向へと狂い始めます。
小百合の冷徹な策略、美幸の妹・弥生(観月ありさ)を巻き込む不穏な影、卓也を執拗に追い詰めるエリート弁護士・神宮寺司(辰巳琢郎)、そして裏社会で糸を引く怪人物たち。登場人物の誰もが嘘をつき、互いを陥れ合い、信じたパートナーさえも次の瞬間には奈落の底へ突き落とすという、空前絶後の愛憎劇が展開されました。複雑怪奇に絡み合う主要人物の対立関係は、当時の視聴者に「一話でも見逃すとストーリーについていけない」という強烈な飢餓感を植え付けたのです。