「地球一周は何キロなのか」という疑問に対する端的な答えは、「およそ4万キロメートル」です。しかし、広大な宇宙に浮かぶ天体の周囲長が、なぜ10進法のキリの良い「4万」という数字に収まっているのでしょうか。
この数値の一致は偶然の産物ではありません。私たちが日常的に使っている長さの単位「メートル」そのものが、地球の大きさを基準にして人工的に作られたからです。
18世紀末のフランス革命期、世界中でバラバラだった度量衡(長さや重さの単位)を統一し、普遍的な基準を作ろうとする国家プロジェクトが発足しました。当時の科学者たちは、特定の王の身体のサイズや国ごとの慣習に左右されない絶対的な基準として、「地球の北極点からパリを通過して赤道に至る子午線(しごせん)弧長の1,000万分の1」を1メートルと定義しました。
北極点から赤道までの距離は、地球全周のちょうど4分の1にあたります。つまり、北極点から赤道までが「1,000万メートル(=1万キロメートル)」となるため、その4倍にあたる子午線全周(地球の縦回り一周)は自動的に「4万キロメートル(40,000km)」となる設計が施されたわけです。
当時の天文学者ジャン=バティスト・ドランブルとピエール・メシャンらは、フランスのダンケルクからスペインのバルセロナに至る過酷な三角測量を足かけ7年かけて敢行し、地球の寸法を割り出しました。現代の最新衛星測地技術と比較しても誤差はわずか0.02%程度にとどまっており、当時の測量精度の高さには目を見張るものがあります。