良質な器作りは、土選びから始まる。田村文宏は原土の特性を見極め、時には複数の異なる性質を持つ土をブレンドし、独自の粘土を作り上げる。鉄分の含有量や砂目の粗さによって、焼き上がりの表情は劇的に変わるからだ。
焼成プロセスにおいても、温度管理や窯の酸素状態(酸化と還元)を緻密にコントロールする。特に薪窯を用いた焼成では、窯の中のどこに器を配置するかによって、灰のかかり方や色の変化(窯変)が大きく異なってくる。自然の力を借りながら、狙い通りのテクスチャーを引き出す技術は、長年の経験と直感の賜物である。