そもそも鯛の浦遊歩道は、どのような魅力を持ったルートだったのでしょうか。失われた景観の価値と本来のスペックを振り返ることで、現在の立ち入り規制の重大性が浮き彫りになります。
本来の遊歩道は、鯛の浦遊覧船の発着場付近を出発し、波打ち際に沿って「五色の砂」が広がる海岸線を経て、奇勝として名高い「大弁天・小弁天」の二つの小島を間近に仰ぎ見る展望スポットまで整備されていました。散策の所要時間は往復で約30〜40分。高低差は比較的緩やかでありながら、荒々しい太平洋の白波と断崖絶壁が織りなすジオパークさながらの景観を手軽に体感できる道として親しまれていました。
ルート沿いには、昭和天皇・皇后両陛下が鯛の浦遊覧船をご観覧されたことを記念して建立された行幸啓記念碑や、休憩用の東屋が設置されていました。また、日蓮聖人が誕生した際に浜辺の砂が五色に輝いたという奇瑞伝説が残る「五色砂」など、歴史と信仰にまつわる見どころも点在していました。こうした豊かな地域遺産を間近に体感できるルートであったからこそ、現在でも多くの散策ファンが再開を待ち望んでいます。