なぜあれほど賑わっていたセンター街の路面店が撤退を選んだのか。アパレル小売業界の動向と現場の取材データから、チュチュアンナ渋谷センター街店の閉店理由として以下の3つの要因が浮かび上がります。
第1に、渋谷センター街におけるテナント賃料の高騰と業態変化です。渋谷の再開発が進むにつれ、センター街の1階路面区画はインバウンド需要を見込んだ大型ドラッグストアや外食チェーン、大手アミューズメント施設が台頭しました。薄利多売のソックス・インナー単価で路面店の高額な固定費を回収し続けるビジネスモデルは、採算面で極めて厳しい環境へと変化していきました。
第2に、Z世代を中心とする消費者の行動導線の変化です。かつてのように「まずハチ公前で待ち合わせ、センター街を端から端まで歩きながら掘り出し物を探す」という買い回りは減少傾向にあります。猛暑や悪天候を避け、空調の効いた地下街や駅ビル内で手短に目的買いを済ませるタイパ志向が定着したことが、路面店離れを加速させました。
第3に、ブランド自身のスクラップ&ビルド戦略とOMO(実店舗とECの融合)の推進です。2026年代以降のアパレルSPA各社は、非効率な小型路面店を統廃合し、駅利用者が乗り換えついでに立ち寄れる駅ナカ店舗、あるいは広々とした郊外型SCの大型複合店へとリソースを集中させました。渋谷センター街店の撤退は、この合理化プロセスの必然的な一手だったと言えます。