出店計画が表面化した直後、地元・豊島区では異例の政治的抵抗が繰り広げられた。故・高野之夫前豊島区長が生前に公表し、後任の高木晶代区長へと引き継がれた「西武池袋本店に関する要請書」は、行政が特定企業の売り場構成に異議を唱える極めて異例の事態となった。
区側が猛反発した最大の理由は、豊島区が長年推進してきた「国際アート・カルチャー都市構想」との深刻な齟齬にある。池袋東口の玄関口を家電量販店が占拠することで、街の品格や女性客を中心とした回遊性が失われ、駅前が一様な電気街へと変質することへの強い危機感があった。
また、ラグジュアリーブランドの撤退ドミノを懸念する声も根強かった。百貨店1階から3階のいわゆる「一等地」にヨドバシが入居する初期案に対し、地元商店街振興組合や顧客層からは「長年親しんできた洗練された空間が失われる」「池袋が持つ文化的な発信力が損なわれる」といった嘆きと反発が噴出した。この地域を巻き込んだ激しい議論が、後のフロア構成修正における決定的な抑止力となった。