観客の心を掴んで離さないのが、観音坂独歩との関係性だ。幼馴染であり、同居人。そして互いの弱さを補い合う唯一無二のパートナー。ステージ上での二人の距離感や、言葉を交わさずとも通じ合う空気感は、単なる台本通りの演技を超えた何かを感じさせる。
独歩が窮地に陥ったとき、一二三が見せる静かな怒り。逆に、一二三が恐怖に震えるとき、独歩がそっと差し伸べる手。シンジュク・ディビジョンが抱える「大人の哀愁と救い」が、この二人のやり取りの中に凝縮されている。観客は彼らの背中に、都会の片隅で生きるリアルな人間の息遣いを見るのだ。