歴史の針を巻き戻すと、この料理の根底には戦後の沖縄が辿った独自の社会的背景が色濃く刻まれている。太平洋戦争後の米軍統治時代、米軍の物資として大量に持ち込まれた缶詰のランチョンミート。地元では親しみを込めて「ポーク」と呼ばれたこの食材は、物資不足に苦しむ島民にとって極めて貴重なタンパク源となった。
沖縄の主婦たちは、この西洋由来のしょっぱいポークを、日本の伝統的な「卵焼き」や「おにぎり」と組み合わせるアイデアを思いつく。白飯と海苔という和の基本構造に、濃厚な脂分と塩分を抱えたアメリカ文化の産物をチャンプルー(混ぜ合わせる)する。苦難の時代を生き抜く知恵と柔軟な食覚醒が生み出したこの奇跡的な組み合わせこそが、今日私たちが歓喜するソウルフードの原点だ。