ボツリヌス菌による中毒は、一般的な食中毒のように食後数時間ですぐに下痢や嘔吐を起こすわけではありません。芽胞が腸内で発芽し、毒素を生み出すまでに時間を要するため、乳児ボツリヌス症の潜伏期間は3日〜30日程度(通常は数日から数週間)と非常に長いのが特徴です。
初期に見られる主な乳児ボツリヌス症の症状は以下の通りです。
- 頑固な便秘:普段は毎日排便があるのに、3日以上便が出なくなる(最も代表的な初期症状)。
- 筋力低下(フロッピーインファント):首のすわりが悪くなる、抱き上げると体がぐにゃぐにゃして脱力している。
- 哺乳力の低下:お乳やミルクを吸う力が目に見えて弱くなり、飲みこめなくなる。
- 啼泣減弱:泣き声がかすれ、弱々しくなる。
- 表情の喪失・眼瞼下垂:まぶたが下がって開きにくくなり、顔の表情が乏しくなる。
進行すると呼吸筋が麻痺し、最悪の場合は自発呼吸が停止します。現代医療において適切な呼吸管理や支持療法が行われれば、乳児ボツリヌス症の致死率は通常1%未満と低く抑えられますが、発見が遅れて呼吸不全に至ると命に関わります。早期発見と早期の医療介入が決定的な分かれ道となります。