能町みね子の活動領域は、純粋なエッセイ執筆にとどまりません。2010年代以降、日本のポップカルチャーシーンにおける言論のあり方を大きく変える複数のムーヴメントを牽引してきました。
特筆すべきは、漫画家・久保ミツロウ氏との盟友関係です。ニッポン放送『久保ミツロウ・能町みね子のオールナイトニッポン』や、ヒャダイン氏を加えたフジテレビ系『久保みねヒャダ こじらせナイト』では、世間の「リア充」文化や恋愛至上主義に対する痛烈かつ笑いに満ちた毒舌トークを展開。自虐にとどまらない精緻な社会批評として、深夜ラジオリスナーやサブカルチャー層を中心に熱狂的な支持を集めました。
また、彼女のライフワークとして名高いのが大相撲への偏愛と批評活動です。単なる「相撲好きタレント」の枠を遥かに超越した知識量を誇り、力士の取組や体型のみならず、行司・呼出の装束、勝負審判の挙動、相撲部屋の人間模様、日本相撲協会のガバナンス問題に至るまで、現場に深く潜入した緻密な観察眼で論考を発表しています。
NHKの大相撲中継へのゲスト出演や相撲専門誌での長期連載において見せる分析力は、古参の相撲ファンや関係者からも高く評価されています。伝統芸能や国技という権威に臆することなく、純粋な競技美と組織の歪みをフラットに見つめる姿勢は、能町コラムの真骨頂と言えます。