毛糸の水通しで失敗しない秘訣は、ズバリ「摩擦」と「急激な温度変化」を徹底的に排除することにある。動物性繊維は熱湯や強い揉み洗いを加えると、表面のスケール(鱗状構造)が相互に絡み合い、二度と元に戻らないフェルト化を起こして縮んでしまう。浸す際の水温は30度前後のぬるま湯を保ち、決して揉まず、手のひらで優しく沈めるのが原則だ。
濃色と淡色を組み合わせた編み込み作品で懸念される色落ちには、最初の洗液に数滴のクエン酸や酢を混ぜるアプローチが効果的だ。液性を弱酸性に保つことで染料の定着を促し、色移りを防ぐことができる。脱水時は絞るのではなく、バスタオルで作品を挟んでくるくると巻き、上から手や足で優しく圧をかけて水分を移し取る。この丁寧なプロセスが、作品の命運を分ける。