取引金額が大きくなりやすい不動産や金融債権、知的財産の移転では、契約上の不備が深刻な紛争を引き起こします。
不動産譲渡の注意点としては、境界の確定、登記簿上の権利関係の確認、契約不適合責任(旧・瑕疵担保責任)の免責範囲の設定が挙げられます。抵当権が設定されている物件であれば、売却代金による完済と抵当権抹消登記を決済と同日に確実に行う段取りが不可欠です。
著作権や特許権、商標権などの無形資産を扱う際は、権利譲渡の契約書を緻密に作成しなければなりません。著作権法上、契約書に「著作権法第27条および第28条に規定する権利を含む」旨を明記しておかないと、翻訳権や翻案権、二次的著作物の利用権が譲渡人に留保されたと推定されるため、実務上の頻出注意ポイントとなっています。
金融実務で頻出する債権譲渡とは、売掛金や貸付金といった債権の内容を変えずに第三者へ移転させる行為です。債務者や第三者に対抗するためには、内容証明郵便などの確定日付ある証書による債務者への通知、または債務者の承諾が必要となります。
また、融資の現場で用いられる譲渡担保をわかりやすく解説すると、「お金を借りる担保として、物の所有権を形式的に債権者へ移転させる手法」です。借主は担保に入れた機械設備などをそのまま使い続けることができ、期日通りに借入金を完済すれば所有権は借主に戻ります。万が一返済が滞った場合には、債権者がその物を売却して回収に充てるという、柔軟な資金調達スキームとして機能しています。