『シンドラーのリスト』のアーモン・ゲート役などで人間の持つ絶対的な悪を描き出してきたファインズは、ヴォルデモートを単なるアニメーション的な怪物として演じることを拒んだ。彼が着目したのは、彼が抱く「死への圧倒的な恐怖」と「孤独」だった。
ロイヤル・シェイクスピア・カンパニー出身の圧倒的な演技力は、台詞の間や一瞬の視線、指先の微妙な動きに宿る。怒号を爆発させるのではなく、あえて囁くような低い声で話すことで、周囲の空気を凍りつかせる緊迫感を作り出した。ヴォルデモートの冷酷さは、かつて愛を知らずに育った孤児トム・リドルの屈折した自己愛の裏返しなのだと、彼の演技は語っている。