2002年の年間大賞には、先行き不透明な社会に温かい光を灯した2つの言葉が輝きました。その筆頭が、同年8月に神奈川県横浜市・西区のアゴヒゲアザラシ、通称「タマちゃん」です。本来は北極海周辺に生息するアザラシが多摩川に迷い込み、丸みを帯びた愛くるしい姿で川辺に寝そべる様子がテレビで連日中継され、現地には連日数万人規模の見物客が殺到しました。
もうひとつの年間大賞が、大分県の小さな山村が一夜にして世界的な脚光を浴びた「W杯(中津江村)」です。2002 FIFAワールドカップの事前キャンプ地に決まっていたカメルーン代表チームが、金銭トラブルなどによる出国遅延で予定日を過ぎても到着せず、人口わずか千数百人の村役場職員や村民たちは不眠不休で待ち続けました。遅れてやってきた選手たちを笑顔と温かい拍手で迎え入れた村民の純朴なもてなしは、大会屈指の心温まるドラマとして国内外のメディアで絶賛されました。