生涯の伴侶であり、創作の最良のパートナーであった河野洋の他界という深い悲しみを経験しながらも、表現への火が消えることはなかった。「劇団いず夢」の舞台は今もその精神を受け継ぎ、彼女自身も変わらぬ情熱で稽古場に立ち続けている。悲しみを芝居の深みへと昇華させ、地域の人々と肩を並べて汗を流す日々に、妥協の文字はない。
芸歴が半世紀を超えた今、演じることの意味を尋ねられれば「生きている実感を分かち合うこと」と即答する。経験を重ねるほどに演技は削ぎ落とされ、より澄み切ったものへと進化を遂げた。舞台裏で見せる真摯な眼差しと、カーテンコールで見せる屈託のない笑顔。その両方に、生涯現役を貫く名女優の揺るぎない覚悟が宿っている。