東京から電車とバスを乗り継いで約2時間半。江戸時代末期に始まった焼き物の街、栃木県益子町には全国から器ファンが集う。昭和初期、人間国宝である濱田庄司がこの地に拠点を置き、柳宗悦らと共に推進した民藝運動の精神は、今も街のあちこちに息づいている。「用即美(使うことの中に美がある)」という教えは、単なる美術品ではなく、暮らしに寄り添う道具としての器づくりを決定づけた。
時代が平成から令和、そして2026年へと移り変わる中でも、この土地の陶磁器産業は進化を止めていない。国の伝統工芸品に指定されつつも、伝統の型に縛られない柔軟さが益子の強みだ。地元の粘土が持つ独特の温かみと、若手作家たちの自由な感性が交差する場所。それが益子焼の真骨頂と言える。