長引く咳の治療においては、一般的な中枢性鎮咳薬(咳止め薬)だけでは十分な効果が得られないことが多い。現在、日本呼吸器学会が発行する「咳嗽・慢性咳嗽診療ガイドライン」に基づく診療現場では、気道の局所的な炎症を直接抑えるアプローチが標準化されている。
特に第一選択薬として用いられるのが「吸入ステロイド薬」だ。これは気管支の微細な炎症を強力に鎮め、過敏になった神経の興奮を落ち着かせる作用を持つ。呼吸器内科の診療では、必要に応じて気管支拡張薬(長時間作用性β2刺激薬など)との配合剤が処方され、投与開始から数日で劇的な改善を見せるケースも珍しくない。自己判断での薬の中断を避け、指示された期間しっかりと吸入を続けることが根治への鍵となる。