本場所へのカウントダウンが始まる中、田子ノ浦部屋の稽古場には前日まで普段と変わらない激しいぶつかり稽古の声援が響き渡っていた。親方は土俵際で力士たちの一挙一動に目を光らせ、細かな足の運びや立ち合いの角度について熱心にアドバイスを送り続けていたという。
弟子の一人は「体調の不調を周囲に一切感じさせず、いつも通り厳しい中にも温かみのある指導をしてくださっていた」と声を詰まらせる。前日夜も力士たちと共にちゃんこを囲み、次の場所での勝ち越しに向けた発破をかけていたばかりだった。予兆すらない突然の別れが、現場のショックをよりいっそう深いものにしている。