「原理主義」という思考の枠組みは、宗教の世界だけに限定された特異な現象ではありません。政治や経済の領域においても、特定のドグマを無謬のものとして社会全体に強制する現象が頻発しています。その代表例が市場原理主義とは何かという議論です。
市場原理主義(ネオリベラリズム/新自由主義の先鋭化した形態)は、「政府の介入を極限まで廃し、すべてを自由市場の自己調整機能に委ねれば、効率性と富の最大化が達成される」という仮説を絶対視する経済思想です。1980年代以降の英米を中心とする政策や、冷戦終結後のグローバリゼーションを通じて世界中を席巻しました。
しかし、この市場至上命題を硬直的に運用した結果、現代社会は深刻な副作用に直面しています。原理主義現代社会への影響として指摘されるのは、中流階級の没落に伴う格差の固定化、セーフティネットの解体、環境負荷の外部化、そして地域コミュニティの荒廃です。国際機関の貧困分析レポートでも、過度な緊縮財政と規制緩和が社会的弱者を直撃し、それがポピュリズムの台頭や社会的不安定を加速させた構造が繰り返し検証されています。
「唯一絶対の真理を信じ込み、現実に生じる歪みや痛みを外部要因のせいにして自説の正当性を疑わない」という思考の構造において、宗教の急進派と市場原理主義の論理は驚くほど酷似しています。