粉瘤を根本的に完治させるには、角質を産生し続けている「嚢胞の袋(壁)」を完全に摘出する以外に方法がない。従来の治療では全身麻酔をかけた上での広範囲切開が主流であったが、近年は獣医療機器の発展に伴い、犬の身体的ストレスを最小限に抑える低侵襲なアプローチが定着している。
日本小動物獣医師会の臨床知見や最新の手術手技により、小型の粉瘤であれば「局所麻酔下摘出術」を選択するケースが増加した。トレパンと呼ばれる皮膚生検用の円形メスや高周波炭酸ガス(CO2)レーザーを用い、わずか数ミリの極小切開から嚢胞壁をつるりと剥離・摘出する手法だ。縫合数も最小限で済み、出血や術後の疼痛も大幅に軽減される。
特に全身麻酔のリスクが高いハイシニア犬や、心臓病などの基礎疾患を抱える犬にとって、短時間の局所麻酔処置で嚢胞を除去できるメリットは計り知れない。しこりが小さいうちに発見できれば、それだけ侵襲性の低い術式を選択できる余地が広がる。