日本列島各地でカメムシの目撃情報が後を絶ちません。農林水産省が公表した最新の防除データによると、果樹カメムシ類の発生注意報・警報は過去数年で最多水準を記録した地域が多く、2026年現在もその余波が全国へ広がっています。この異常とも思える繁殖の背景には、明確な生態学的要因が存在します。
主たる要因は、冬期の平均気温上昇に伴う「越冬生存率の急増」と、餌場となるスギやヒノキの毬果(実)の豊凶周期です。カメムシは成虫の状態で落ち葉の下や家屋の隙間に潜り込み冬を越しますが、厳冬期に氷点下の極限状態が減少したことで、春先まで生き延びる個体数が激増しました。活動のピークは年に2回訪れます。第1波は越冬から目覚めて繁殖活動を活発化させる4月下旬〜6月上旬、そして第2波が新世代の成虫が越冬場所を求めて市街地へ一斉に押し寄せる9月下旬〜11月上旬です。
身近な生活圏で問題となるのは、主に以下の2種類です。
- クサギカメムシ:体長15mm前後。暗褐色でゴツゴツとした平たい体を持つ。山林から飛来し、住宅街のサッシや換気扇の隙間をすり抜けて屋内に侵入する代表格。
- マルカメムシ:体長5mm前後。丸みを帯びた茶褐色で、クズなどのマメ科植物を好む。集団で飛来し、ベランダの洗濯物に大量に付着して激臭を放つ。
どちらも平らな体構造を活かし、わずか2〜3mmの隙間さえあれば屋内へ潜り込む驚異的な潜伏能力を持っています。