映像文化の領域でも、マリーゴールドは世界規模の感動を呼び起こす重要な舞台装置となった。ウォルト・ディズニー・スタジオがピクサーと共に世に送り出した長編アニメーション映画『リメンバー・ミー』である。
メキシコの伝統行事「死者の日」を題材にした本作では、オレンジ色のマリーゴールドの花びらが死者の国と現世をつなぐ美しい架け橋として描かれた。メキシコ現地で「センパスチル」と呼ばれるこの花は、強い香りと輝く色彩で先祖の魂を迷わず家へと導く神聖な道標とされる。恐怖としての死ではなく、家族の絆と記憶を祝祭するあたたかな死生観が、スクリーンの隅々から伝わってくる。
Disney+などの配信サービスを通じて作品が世界中で繰り返し鑑賞されるなか、マリーゴールドは「死者への愛」「家族の絆」という崇高なシンボルとして再解釈された。暗闇を照らすオレンジ色の光は、悲哀を乗り越える希望そのものとして人々の胸に迫る。