生化学の教科書を開くと、そこには長鎖脂肪酸の構造式やメチル末端からの二重結合の位置を示す「n-3」「n-6」といった専門用語がずらりと並ぶ。これが苦手意識を生む元凶だ。
ヒトの体内には、脂肪酸の炭素鎖に二重結合を導入する脱水素酵素(デサチュラーゼ)が存在する。しかし、Δ9位よりメチル基側の位置(Δ12位やΔ15位)に二重結合を作ることができない。そのため、食事から摂取しなければ生命活動を維持できない脂肪酸が存在する。これが必須脂肪酸の定義だ。
アラキドン酸についても整理が必要だ。乳幼児期を除けば、大人の体内ではリノール酸からアラキドン酸を微量合成できる。しかし、代謝経路の起点となるリノール酸が欠乏すれば当然維持できない。こうした生化学的背景を理解した上で語呂合わせを重ねると、暗記は単なる丸暗記から「揺るぎない知識」へと進化する。