近年、映画『植物図鑑 運命の恋、ひろいました』のヒットなどをきっかけに、身近な野草を採取して食卓に取り入れるライフスタイルが幅広い世代に定着した。自然と共生するオーガニックな暮らしが称賛される一方で、植物鑑別の専門知識を持たないまま山林や畦道に足を踏み入れるリスクも浮き彫りになっている。
園芸・ヘルスケア産業が拡大し、ハーブや山菜の自給自足がカジュアルな趣味となるにつれ、外見だけで可食か否かを自己判断する危険性が急増した。イヌサフランのような猛毒植物は、山奥だけでなく住宅地の花壇や空き地にもごく普通に自生している。自然の恵みを楽しむ文化の裏には、常に冷徹な科学的リテラシーが伴っていなければならない。