タクシー車内に置き忘れた物品の行方を追うと、驚くべき統計が浮かび上がる。一般社団法人全国ハイヤー・タクシー連合会や公益財団法人東京タクシーセンターがまとめた動向によると、タクシー車内で拾得された物品のうち、持ち主へ無事に返還される割合は全体で約65〜75%に達する。品目別で見るとその差はさらに鮮明だ。
特に返還率が高いのは、スマートフォンや携帯電話端末で、実に85%以上が無事に戻っている。高価な通信機器は画面通知や位置情報追跡機能が備わっているだけでなく、タクシー乗務員(運転手)が降車後の点検で見つけ次第、即座に営業所へ報告・保管するオペレーションが徹底されているためだ。財布やビジネスバッグも70%前後の高い返還率を誇る。一方で、傘やハンカチ、帽子といった日用品・雨具類は持ち主からの問い合わせ自体が少なく、返還率は20〜30%程度にまで落ち込む。
都市部と地方部での差異も無視できない。東京都心部では公益財団法人東京タクシーセンターや警視庁遺失物センターとの連携システムが密に機能しており、追跡スピードが速い。地方都市では事業所の数が絞られるため、電話数本で該当車両を特定しやすいという利点がある。いずれにせよ、日本のタクシーで物を失くした場合、他国に比べて「手元に戻る確率が圧倒的に高い」ことは客観的な事実だ。