ハローキティの成功を語る上で欠かせないのが、サンリオ創業者の辻信太郎が掲げた「Small Gift, Big Smile(ほんの小さな贈り物が、大きな友情を育む)」という平和思想だ。戦後の荒廃を経験した辻は、人と人がいがみ合うのではなく、小さな贈り物を交わし合って仲良く暮らせる社会を夢見て事業を立ち上げた。
この崇高な理念を世界規模で具現化したのが、革新的なキャラクターライセンスビジネスの展開だった。文房具や玩具にとどまらず、高級ジュエリー、航空会社の機体ラッピング、ホテルルーム、さらにはハイエンドな家電製品に至るまで、サンリオはパートナー企業との共創によってキティの世界を無限に拡大していった。
自社製造に固執せず、ライセンシーの自由な発想を歓迎するオープンなビジネスモデルは、世界各国のローカル文化とキティを自然に溶け込ませる原動力となった。その結果、彼女は単なる日本の輸出品ではなく、地球規模の共有財産へと昇華したのである。