反社会的な人格を語る上で、避けて通れない人物が存在する。1970年代のアメリカを震撼させたシリアルキラー、テッド・バンディだ。彼は粗暴な狂人というステレオタイプを根底から覆した。法学生としての知性と洗練された身なり、哀愁を帯びた笑顔で女性たちの警戒心を解き、次々と凶行に及んだその姿は、大衆に底知れぬ恐怖を植え付けた。
近年、Netflixで配信されたドキュメンタリー『殺人鬼との対談: テッド・バンディの場合』が世界的な反響を呼んだ背景には、現代社会が抱える「魅惑的な悪」への尽きない関心がある。世界中で過熱するトゥルー・クライム熱狂の原点は、まさに彼のような存在にある。裁判の法廷ですらファンレターが殺到したという異様な現象は、人間が持つ「表層的なカリスマへの盲従」という危うい弱点を浮き彫りにした。