「1本のVTRで使われるのは、カメラを回した総時間のわずか数パーセントに過ぎない」。そう明かすのは、複数のバラエティ番組を手がける中堅の番組制作会社ディレクターだ。現場では1組の面白いコメントを拾うために、何日も街頭に立ち続け、数百人規模に声をかける。その過程で、過剰演出・やらせ問題と紙一重の綱渡りが行われているという。
関係者の証言によれば、完全な「嘘(捏造)」を一般人に演じさせることは現代の地上波ではリスクが高すぎて行われない。しかし、「話の誘導」や「特定フレーズの強調」といった演出技術は日常的に用いられる。面白いエピソードを持つ一般人に対し、「その言い回し、もう一回カメラに向かって強めに言ってもらえますか?」と促す。あるいは、本人が何気なく放った一言を、テロップと効果音で何倍にもデフォルメする。この編集の魔術こそが、視聴者に「作られた違和感」を抱かせる正体なのだ。