暁佳奈による原作小説の持つ洗練された詩的文体は、アニメーションという表現媒体を得て更なる高みへと昇華された。戦場しか知らなかった少女が、代筆業「自動手記人形」を通して人間らしさを取り戻していく過程を描いた屈指のファンタジー・ヒューマンドラマである。
その重厚な物語に魂を吹き込んだのが、実力派キャスト陣だ。主人公ヴァイオレット役を演じる石川由依は、初期の無感情で硬質なトーンから、次第に情愛や葛藤を知り、声に温もりを帯びていく過程を巧みに表現してみせた。そして彼女の運命を大きく変えたギルベルト役の浪川大輔は、慈愛と苦悩に満ちた声を響かせ、物語の感情的支柱を担っている。二人の声が交わされる瞬間の緊張感と情感は、観る者の胸を強く打つ。