STAP細胞騒動の発端は、2014年1月29日に理化学研究所で行われた華々しい記者会見でした。弱酸性の溶液にマウスの細胞を浸すだけで、初期化された万能細胞ができるという発表は、ノーベル賞級のブレークスルーとして世界中でトップニュースとして報じられました。
小保方晴子氏の生い立ちや経歴もメディアの格好の標的となりました。早稲田大学理工学部を卒業後、同大学院で博士号を取得。米ハーバード大学のチャールズ・バカンティ教授の研究室へ留学し、酸刺激による細胞初期化のアイデアを深めて理研に迎え入れられたというエリートコースです。研究室のピンク色の壁、ムーミンのステッカー、白衣ではなく祖母からもらった「割烹着」姿で実験に臨む姿など、過剰なキャラクター報道が過熱し、社会現象と化しました。
しかし、その熱狂はわずか数週間で崩壊の兆しを見せ始めます。インターネット上の研究者コミュニティ「PubPeer」や匿名掲示板において、論文内の電気泳動画像の切り貼り、別の実験画像の流用、さらには早稲田大学に提出した博士論文からの画像の使い回しが次々と暴かれていきました。