ネット上の簡易まとめやSNSでは、「みりんはどれを買っても大差ない」「みりん風調味料の方が安いから節約になる」という言説が散見されますが、これは調理科学の観点から見れば危険な誤解です。
最大の盲点は、「みりん風調味料で安く済ませたつもりが、結局余計な調味料と手間を消費している」という構造的パラドックスです。みりん風調味料を使って煮魚の臭みを消そうとする場合、アルコール効果が得られないため、別途「料理酒」や「生姜」「ネギの青い部分」を大量に追加しなければならなくなります。結果として調味料の消費量が増え、トータルのコストや調理の手間を考慮すると、最初から高品質な本みりんを適量使った方が経済的かつ短時間で美味しく仕上がるケースが多々あります。
もう一つの盲点は、「本みりんなら何でも冷蔵庫に入れれば安心」という保管方法の誤りです。本みりんはアルコール度数が高く糖度も高いため、常温で保存しても腐敗しません。むしろ開栓後に冷蔵庫へ入れてしまうと、低温によって内部のブドウ糖が結晶化し、底に白い塊となって固まってしまうトラブルが発生します。冷暗所での常温保存が鉄則である本みりんに対し、アルコールによる防腐効果が期待できないみりん風調味料は「開栓後必ず冷蔵保存」が義務付けられています。この保存管理の違いを知らないまま放置し、みりん風調味料をカビさせてしまうトラブルも後を絶ちません。