孤立無援で伝統を守る時代は終わった。現在、全国和菓子協会と連携した若手育成プログラムが急速に進展している。萬榮堂の工房は、全国から選抜された意欲ある職人たちを受け入れるオープンラボのような役割も担い始めた。かつては一子相伝、門外不出とされた技法のエッセンスを、理論的かつ体系的に次世代へ伝授する試みだ。
全国和菓子協会の幹部は、「技術を囲い込むのではなく、業界全体の水準を引き上げることでしか、日本の菓子文化は生き残れない」と強調する。産学官が連携したワークショップや、若手職人の越境交流から生まれる化学反応は、衰退が囁かれていた業界に活力と新たなインスピレーションを注ぎ込んでいる。