牡丹を肌に宿す際、多くの愛好家が熟考を重ねるのが「色彩の選択」です。墨一色の濃淡で魅せる「カラス彫り(ブラック&グレー)」か、鮮烈な色使いで魅せる「カラー」かによって、作品の持つ空気感は大きく変わります。
墨の濃淡のみで仕上げるカラス彫りは、渋みと重厚感、そして幽玄な侘び寂びを漂わせます。墨のグラデーション(ぼかし)によって描かれた花びらは、肌馴染みが良く、歳月を重ねるごとに深い風合いへと変化していく経年美が魅力です。
対照的に、朱赤や深紅、紫、薄桃色、あるいはエメラルドグリーンの葉をあしらったカラー作品は、牡丹本来の圧倒的な華やかさを最大限に引き出します。特に日本の伝統色である「深緋(こきひ)」や「弁柄(べんがら)」を想起させる落ち着いた赤色は、肌の白さを引き立て、見る者を惹きつけて離さない妖艶な輝きを放ちます。