インターネット上で「6月6日の誕生花には怖い意味がある」と噂される最大の原因が、このジギタリス(別名:キツネノテブクロ)です。豪華なベル状の花を咲かせる一方で、「不誠実」「不真面目」というネガティブな花言葉が付けられています。
なぜこのような不名誉な言葉が選ばれたのか、その背景には古代ギリシャ神話の愛憎劇があります。最高神ゼウスはサイコロ遊びに熱中するあまり、妻である女神ヘラの言葉を軽視し、イカサマを働いていました。これに激怒したヘラがサイコロを天上から地上へ投げ捨てたところ、その落ちた場所から生えてきたのがジギタリスだったとされています。神の不正(ペテン)から生まれた花という伝承が、「不誠実の象徴」として定着した理由です。
さらに、ジギタリスは「ジギトキシン」をはじめとする強力な強心配糖体を含む猛毒植物です。適量を抽出すれば古くから心臓病の特効薬として多くの命を救ってきた実績がある一方、誤食すれば心不全や不整脈を引き起こし死に至る危険を孕んでいます。この「薬と毒」「美しさと危険」の二面性が、人々に畏怖と神秘的な恐怖を抱かせる要因となっています。