「土日祝日なのに割引が利かないのは不条理だ」「繁忙期だからこそ家計を支援してほしい」という不満の声は、毎年のようにSNSやドライバーコミュニティで噴き出す。なぜ国とNEXCO各社は、あえて休日割引を頑なに排除するのだろうか。その背景には、国土交通省の社会資本整備審議会・道路部会が打ち出した抜本的な方針転換がある。
本来、ETC休日割引は地方部の観光振興や分散利用を促す目的で導入された経済インセンティブだった。しかし、お盆やゴールデンウィークといった超大型連休においては、割引を実施することで「安くなる土日に出発しよう」という心理的誘導が強く働き、特定のピーク日・時間帯にマイカーが爆発的に集中する原因を作っていたのだ。
交通工学の観点から見れば、高速道路の処理能力を超えた車両が流入すると、ボトルネックとなる上り坂やトンネル入口でサグ部渋滞が発生し、40km以上の大規模渋滞へ瞬く間に発展する。大渋滞はCO2排出量の激増、追突事故リスクの跳ね上がり、物流トラックの深刻な遅延など、莫大な社会的損失をもたらす。つまり、繁忙期に高速料金をあえて安くしない措置は、「料金インセンティブによる過密の是正(交通需要マネジメント=TDM)」という明確な政策判断に基づいている。