「マペット(Muppet)」という言葉は、辞書に昔からあった英語ではありません。生みの親であるアメリカの人形劇作家・映像作家、ジム・ヘンソン(Jim Henson)が1950年代半ばに創り出した造語です。
ヘンソン自身は生前、語源について「マリオネット(Marionette=糸操り人形)の繊細さと、パペット(Puppet=手袋・指人形)の扱いやすさを融合させた言葉」と説明していました。後に「単に語感が気に入って作った響きに、後からもっともらしい説明を付けただけ」と冗談めかして語る場面もありましたが、実際にマペットが備える構造は、まさにその両方の長所を巧みに取り入れた革新的なものでした。
当時主流だった伝統的な木製人形劇は、顔のパーツが硬く固定されており、表情の変化に乏しいのが弱点でした。ヘンソンはテレビカメラの至近距離での撮影に耐えうる表現力を求め、柔らかいウレタンフォーム(発泡スチロールやスポンジ材)とフェルト生地を組み合わせた、全く新しいスタイルの人形=マペットを誕生させたのです。