かつて財布といえば、ステータスを誇示するための象徴だった。上質なレザー、重厚なファスナー、ブランドロゴの刻印。しかし、スマートフォンひとつで電車に乗り、食事を済ませ、買い物が完結する現在、重たい革財布は身軽さを阻む足枷へと姿を変えた。
そこで浮上したのが、必要最低限のアイテムだけをコンパクトに持ち運ぶミニマリズム(Minimalism)の思想だ。欧米のアウトドアやテック界隈から火がついた「Everyday Carry(EDC)」という概念が日本でも一般化し、日々の携行品をいかに効率化するかが重視されるようになった。物理的な現金を持ち歩く必要性が激減した結果、従来の「財布」という枠組み自体が形骸化し、軽くて機能的な小型ポーチへと需要がシフトしている。