ネタニヤフ首相が妥協を拒み、戦争終結や退陣を避ける最大の理由として指摘されているのが、首相職を退いた瞬間に待ち受ける個人的な法的危機です。現在、ネタニヤフ氏は収賄や背任、詐欺の罪に問われた3つの汚職裁判(通称:事件1000、2000、4000)を抱えており、有罪判決が確定すれば実刑判決を免れない公算が大きいとされています。
首相の座にある限りは不逮捕特権に近い立場を維持し、裁判の進行を遅らせることが可能です。政権復帰以降、彼が強行してきた司法改革への反対理由として国民から猛反発を浴びたのも、最高裁判所の権限を縮小させ、自らの刑事責任を逃れるための「私的な司法改悪」に他ならないと見抜かれていたためでした。
さらに現在の政権基盤は、過激なシオニスト勢力や極右政党との連立によって辛うじて成り立っています。ガザ地区への強硬攻撃の継続やパレスチナ国家樹立の完全否定を掲げるこれらの連立パートナーは、「停戦に応じれば連立を離脱し、内閣を崩壊させる」と脅しをかけています。首相にとり、強硬路線の維持は内閣崩壊と自身の投獄を防ぐための唯一の防壁となっているのが冷酷な現実です。