近年のラーメン界において、隣町・湯河原の「らぁ麺 飯田商店」が巻き起こした清湯ムーブメントは記憶に新しい。極限まで研ぎ澄まされた鶏と水の美学は、全国の外食産業に計り知れない影響を与え、西湘エリアを一躍“ラーメンの聖地”へと押し上げた。
この劇的な潮流は、小田原の伝統的な麺シーンにも心地よい緊張感と進化をもたらしている。淡麗系の最高峰が脚光を浴びる一方で、対極に位置する無骨な小田原系の魅力が再定義され、新旧のコントラストが地域の食文化をより立体的なものへと変貌させたのだ。
洗練の極致をゆくモダンな潮流と、半世紀以上変わらぬ野性を貫く土着の味。この二つの強烈な個性がせめぎ合い、互いを高め合っている現状こそ、現在の西湘がラーメンマニアを惹きつけてやまない最大の理由だろう。