テルスター以降、大会ごとに披露されるデザインは時代の文化と最新工学を反映してきた。1978年アルゼンチン大会の「タンゴ」は、流線型パネルの配置によってピッチ上の躍動感を演出。さらに1986年メキシコ大会の「アステカ」では、大会史上初めて完全人工皮革が採用され、雨天時でも水分を吸わずに軽量さを保つ画期的な耐水性能を実現した。
職人たちによる試行錯誤は留まることを知らなかった。従来の「手縫い」による縫製では、どうしても革のつなぎ目にわずかな歪みや吸水リスクが残る。そこで開発陣がたどり着いた解答が、熱接合技術「サーマルボンディング」だった。2006年ドイツ大会の「チームガイスト」で実用化されたこの技術は、パネル数を大幅に減らし、限りなく滑らかな真球に近い形状を生み出すことに成功した。