インターネット上の掲示板やSNSのレビューにおいて、「成井コースは階段が整備されているため、高御位山子供連れファミリーに最適」という言説が広く流布しています。この評価は半分正しく、半分は危険を孕んだ誤解です。
滑落事故の恐れがある岩場が存在しないという観点では、確かに小さな子供を歩かせる際の心理的不安は軽減されます。しかし、成井コースの階段は「大人の歩幅・大人の脚力」を基準に設計された箇所が多く、子供にとっては一段一段が股関節の高さに匹敵する大きな段差となります。登山開始から15分ほどで歩行ペースが急激に低下し、保護者が抱っこや背負いを余儀なくされるケースが後を絶ちません。急階段の途中で大人が子供を抱えて登行・下降する行為は、重心が高くなり足元の視界を奪うため、滑落とは異なる転落・転倒の重大なリスクを生じさせます。
さらに、成井コースの多くは直射日光を遮る高木が少ない南東斜面に位置しています。夏季はもちろんのこと、春先や初秋の晴天日であっても石段からの照り返しが強く、体感温度は想像以上に跳ね上がります。水分消費量は一般的なハイキングの想定を遥かに超えるため、「往復で1時間だから500mlのペットボトル1本で足りる」という過小評価は極めて危険です。熱中症や脱水症状によるふらつきは、急階段での重大インシデントに直結します。