2007年春、衆議院予算委員会での鋭い質疑が永田町と日本中に激震を走らせた。当時「ミスター年金」と呼ばれた衆議院議員の長妻昭が、誰のものか特定できない「宙に浮いた年金記録」が約5000万件に上る事実を露呈させたことが事態の始まりだった。職歴の切り替え時の記載ミスや転居に伴う入力エラー、旧姓のまま放置されたデータなど、長年の杜撰な現場運用が原因だった。
直後の参議院選挙を目前に控え、当時の安倍晋三首相は「最後の1人まで記録を照合し、年金をお支払いする」と退路を断つ姿勢を示した。しかし、紙の台帳と膨大な電子データを突き合わせる作業は難航を極め、政治の根幹を揺るがす大問題へと発展していった。