日本におけるニュータウン開発の東西の二大象徴といえば、1962年に開発が始まった大阪の千里ニュータウンと、1965年から東京都多摩地区でスタートした多摩ニュータウン開発事業だ。千里ニュータウンは日本初の本格的ニュータウンとして、近隣住区理論に基づいた学校や商業施設の配置を行い、その後の日本各地の都市開発のひな型となった。
一方、多摩丘陵を削り取って建設された多摩ニュータウン開発事業は、最大計画人口30万人を誇る国内最大級のプロジェクトだった。圧倒的なスケールで自然の地形を塗り替えていくこの開発劇は、人々の希望であると同時に、激しい自然改変の歴史でもあった。この光と影のドラマを鮮烈に描き出したのが、スタジオジブリの映画『平成狸合戦ぽんぽこ』だ。狸たちが化けて人間による開発に抵抗するアニメーション作品でありながら、劇中に登場する景色は多摩の実際の地形変化を精密にトレースしており、急速な都市化がもたらした生態系へのインパクトを風刺的に記録した文化的な証言とも言える。